筑波連山を縦走し絶景に出会うUnseen Road【北筑波稜線林道】

子供の頃、山と言えばそれは筑波山のことでした。
どこまでも真っ平らな関東平野にあって、ひときわ存在感を放つ山。
たしか生まれて初めて登ったのも筑波山だったはずです。

もちろん大人になった今でも、家から割と近いこともあって度々訪れる機会はあります。しかし、それほど身近な山であるにもかかわらず、筑波山神社周辺やパープルライン以外はあまり知らないことに気がつきました。

気になって調べてみたら、林道もたくさんあるようでした。ジムニーに乗らなければ気にもしなかったであろう道。

これまでは「道路=アスファルトで舗装されたもの」という認識が強かったのです。当たり前ですが、そうではない道もたくさんあるわけで、クルマを変えたことによって道の選択肢が増えたのを実感することになりました。

新車の慣らしを終え、オイル交換したジムニーで、早速筑波山林道へ向かいました。

林道沼田新田酒寄線

筑波山の西側、わんわんランド近くから県道42号線で上るルートで、最初に通ることになる林道が「沼田新田酒寄線」
梅林の横を抜けて北上していく道です。

 

梅林には何度か行ったことがあったので、この道も通ったことがあります。
しかし、この日は台風の直後ということで、いつもはほとんど水のないところが滝のようになっていて驚きました。

筑波山が見せる荒々しい一面。

 

つくばの街を見下ろしながら、徐々に高度を上げていきます。台風の影響で枝などが散乱していましたが、基本的に全面舗装路で走りやすい道です。
(梅祭りの時期は車両通行止めになるので注意が必要)

そういえば昔、深夜に通ったことがあるのですが、「カーブミラーの上になにかいる!」と気づき目をこらすと、なんと野生のフクロウ!これにはびっくりしたなぁ。イノシシも歩いていました。筑波山にはまだゆたかな生態系が残されているのです。

ちなみにつくば市の「市の鳥」はフクロウ。森の哲学者と呼ばれるフクロウは、研究・教育機関が集まる学園都市にピッタリですね。

 

しばらく上ると筑波山の北側を東西に走る「鬼ヶ作線」に接続する交差点に差し掛かかりました。ところがまさかの通行止め。(2017年10月時点)
残念だけどまた今度来ることにして、一旦つくし湖の方へ降りることに。

僕にとってここから先は一度も通ったことのない、まさにUnseen Road。

椎尾山 薬王院

つくし湖に向かう途中に現れたのが椎尾山 薬王院。1200年以上の歴史を持つ天台宗の古刹だそうです。

しっとりと濡れた森の中に佇む立派な門。その美しさに惹かれ、少し立ち寄ってみることにしました。

この辺り一帯は樹齢500年とも言われる椎の巨木群生地でもあり、神社は神秘的な雰囲気に満ちています。

 

門の横に巨大な草履と下駄。
なぜ神社に巨大な履物が?と思いますが、各地の神社でも時折見かけることがあるので珍しいものでもないようです。山の神様へ捧げるためであったり、旅の安全を祈願するために奉納するみたいですね。

 

薬王院は文化財の宝庫でもあり、仁王門や本堂などの市指定文化財の他、薬師瑠璃光如来坐像や、県内に3つだけ現存する三重塔などの県指定文化財もありました。

施された細かな彫刻。機械などない時代、すべて手作業で作られたのでしょうから、いやはや遙か昔の職人たちの技には舌を巻きますね。

 

それにしても静かでいい所です。

北筑波稜線林道

つくし湖から一旦県道41号線に出て北上。真壁消防署前を右折し、県道7号線へ。しばらく道なりに進み、上曽峠から「北筑波稜線林道」へと入ります。きのこ山や加波山などの稜線を走り笠間方面へと抜ける林道です。

この林道は3つの区間に分かれており、上曽峠の南側、湯袋峠までが第1区間なのですが、どうやら車両は進入禁止のようでした。

 

「北筑波稜線林道」も基本的に舗装路で、四駆でなくても通行することは容易。ところどころ路面が荒れている部分があるので注意は必要です。

低くなった太陽が放つ優しい光が落ち葉を照らし、まるで輝く絨毯の上を走っているよう。

「その者、蒼き衣を纏いて金色の野に降り立つべし」とはナウシカの一節。僕はナウシカになりました。

 

そして到着した北筑波稜線林道の絶景スポット。
西側に真壁の街、東側に石岡の街を一望できる大パノラマ。しばし時間を忘れぼうっと眺めていました。

日が傾き、街には明かりが灯り始める。

明かりの数だけ人の営みがあって、それはとても尊いものだなとあらためて思うのです。普段は自分もその中にいて見失いがちだけれど、たまにこうして高いところに来て、儚さや尊さを感じるのもいい。やりたいことをやって、精一杯生きなくては。

 

ちなみにこの場所はハングライダー、パラグライダーのテイクオフポイントでもあります。

こんなところから飛んだらそりゃ気持ちいいのでしょうが、ちょっと怖いですよねぇ。

一本杉峠

さらに北上すると一本杉峠へ出ます。
県道218号線と交差する十字路になっているのですが、この218号線、特に真壁側はむやみに踏み込んではいけない危険なルート。通行不能の標識のとおり、普通のクルマではとても走ることはできない超悪路となっています。

それはたとえジムニーであっても、ノーマルの状態では走破できないほど。リフトアップなど改造を施したジムニー乗りの遊び場となっているようです。

そういえばここに来る途中、なかなか気合いの入ったジムニー集団とすれ違ったのですが、もしかしてここを走ってきたのでしょうか。
いつか僕もそういうカスタムをして遊ぶようになるのかなとも思いましたが、今は旅することの方が好きなので想像できませんね。

辺りもだいぶ暗くなってきたので、というか、この先が工事中で通行止めなので、今回の旅は一旦ここで終了。続きはまた今度にして、来た道を引き返しました。

まとめ:はじめての筑波山林道

冒頭でも述べたように、子供の頃から身近に感じていた筑波山。でも、まだまだ知らない面がたくさんあるものですね。それをジムニーが気付かせてくれました。

知らない道を走るのはドキドキします。でもジムニーとだったらこれまで行くことのできなかった所へ行ける。そんな気がした旅でした。

ルートマップ